効かない、減らないGROMのリアブレーキ、走行14000kmのパッドはどうなったか

GROMはリアブレーキの効きが弱い

筆者の愛車のHONDA GROM(JC61前期)ですがリアブレーキが効かないことで有名です。筆者の同僚で同型のGROM乗りも「初めて乗ったときはブレーキ故障してるかと思ったよ(笑)」と言っていました。ちなみに元バイク屋さんの同僚です。web上でも多くの方が納車直後にデイトナの赤パッドに替えたり、キャリパー交換など対策されています。実際、筆者の感想としては、中古購入直後はあんまり効かないというか、かなり強く踏まないと効かないなぁ・・・」でした。比較対象は直前まで乗っていたCBR400R (NC47)とその前のGB250クラブマン(MC10)です。教習車のCB400SFとCB750についてはあまり覚えていません。それぞれ、癖も不満もない効きだったんだろうと思います。走行1600kmほどの中古車だったので、しばらく乗ればバッドにあたりが出て効くようになるだろうと思っていました。加えて、ライダーが慣れれば良いかと今日まで純正パッドを使用してきていました。

これがGROMのリアブレーキ。型押し1Podのディクスブレーキ(ホンダ御三家のNISSIN製です)

実際走行距離を重ねるうちにライダー側が慣れました。加えてパッドのあたりが出たのか、急制動時にはリアロックすることもありました。(ブレーキ時の過重移動が下手なのも認めます。)

使用状況に変化が出た

引っ越しで坂のほとんどない関東平野から比較的坂の多い丘陵地帯に引っ越しました。すると、

  • ブレーキの使用頻度が増えた
  • 坂道停車・発進の機会も増えた
  • 坂道停車時、リアブレーキに右足を置くだけだと車体が後退してしまうことがある
  • 丘陵地帯なのでカーブも多く姿勢制御のリアブレーキの重要性が増した
  • 知らない道なので姿勢変化の少ないリアブレーキを活用して安全運転したい
  • もう少し奥での効きが欲しいなどの欲求も出てきた。

ブレーキ全般、リアブレーキの使用頻度が変わってきました。ちょうど効きの悪いブレーキパッドを使い切るいい機会だと思い、リアブレーキを積極的に使って運転をするようになりました。しかし、14000km走ってもパッドが全然減ったようには見えません。消耗して交換なんてずっと先の話になりそうです。そこで、もったいないながらも社外ブレーキパッドに変更することにしました。

取り外したブレーキパッドの観察

すでにweb上の諸先輩方が取り外したパッドの写真を公開されています。そもそもパッドのあたりが不均一でパッド全面がローターに当たらないという症状のようです。14000km走行すればさすがにパッドも削れて、全面が均一に当たるはずです。そうすればブレーキの効きもどんどん良くなってくるはずです。実際、ローターを見る限りは上下方向、均一に当たっているようです。筆者はそれを感じませんでした。(web上には全力で踏んでもリアロックしない個体もあるようですが筆者の個体はロックできます。なのでマシな個体の事例になります。)

これは 取り外した直後の画像

当たり面の均一さ

取り外したパッドを見ると全面が均一に当たっているようです。当たり面を触るととてもツルツルしてます。筆者はパッド交換が初めてなのですが、もっとザラザラ(砂かサンドペーパー#600~800くらい)を想像していました。実際は磨き上げたような手触りで、そんなに冷たくもなく、サンドペーパーの#2000よりも全然ツルツルしていて驚きました。

左右のパッドを重ねて光にかざしてみても、あたり面から光は漏れてこないので、パッドが反っているということはなさそうです。おそらく摩擦材全体がローターと接触していたでしょう。

摩耗量の計測

新品パッドの寸法はわかりませんが、社外パッドメーカーはいずれもパッド寸法を公開しています。デイトナ(DAYTONA)、SBS(キタコ)は10.0 mm。RK(高砂)は10.2 mmの図面表記の横に*MAX10.0 mmと記載があるので、バックプレート厚みも含めて10.0 mmと考えることにします。

リプレース用に購入した製品の寸法。キタコのwebサイトより引用
http://www.kitaco.co.jp/sbs/search/?mode=p&padnumber=915

写真の以下の箇所のパッド厚みを計測しました。*バックプレート厚みは複数個所図りましたが、ほぼ3.3mmで安定しています。塗料の厚み、剥離などの影響で3.3 mmを外れる箇所もありましたが、100分台で四捨五入すればほぼ3.3 mmで落ち着きます。

測定位置123456
ローター外周側9.208.958.719.269.148.90
ローター内周側9.409.268.958.938.878.71
各測定位置の厚み [mm]

考察するとパッドの摩耗量の平均は0.98 mmになります。パッド厚みの差が最大で0.7 mm近くあるのが驚きです。ピストン側のパッドと非ピストン側で周方向に摩耗量が一定でないことを見ると、キャリパーアライメントとディスクが完全に並行でないかブラケットが剛性不足であることが読み取れます。ただし、これがGROMのブレーキの弱さの原因になるほど異常な値なのかは筆者にはわかりません。(自動車であれば変摩耗として問題なるのは差が2㎜程度のようですから問題ないような気もします。)

実際、パッドのあたり面の組み合わせ相手を見ると左右で摩耗量に差があっても左右の摩耗量の合計を見ると以下のようになります。

測定位置1と62と53と4
ローター外周側0.950.961.01
ローター内周側0.950.941.06
各測定位置における左右パッドの摩耗量の平均 [mm]

こうしてみると、ローターの侵入側より出口側のほうが摩耗が激しいようです。逆に半径方向(ローターのうち外側)ではあまり差はなさそうです。最も消耗の激しい位置からパッドの寿命を予測すると、以下の計算式からパッド寿命は55000 km と予測されます。ちなみにパッドの摩耗限界溝が見えなくなるまで使うとすると、87000kmも使える(使ってはいけませんが)予測です。

有効パッド厚み=パッド全体厚みーバックプレート厚み-安全残量

4.2=10.0-3.3-2.5

パッド消耗速度(km/mm)=走行距離/最大消耗量

1.3×104 km/mm ≒ 14000 / 1.06

パッド寿命=有効パッド厚み×パッド消耗速度

5.5×104 = 4.2 × 1.3×104

オーナーズマニュアルから引用

(ディクセル、アドビックス両社のwebページを拝見しましたがともに、ブレーキパッドは半分まで減ると2次曲線(比例級数)的に摩耗が進むそうです。ですのでちょっと安易すぎる計算です。同じパッドでもかかる熱量が多いほど早く摩耗し、また熱容量が小さくなると摩耗の進みが早くなると解釈しました。)

パッドの各箇所の減り方と、パッドの周方向減り具合の差から、ブレーキキャリパーのアライメントの精度が出ていないと言う説にはおおむね賛成です。ただし、筆者は今回初めてバイクのブレーキパッドを交換しました。これまで乗ってきた車種ではお店任せだったので(不満もなかったので)あくまでn=1のデータです。これが普通なのか、工業製品として精度や設計が悪い部類に入るのか判断はできません。もちろん、効きの悪さの原因と断定することはできません。

そもそもの設計ってそんなに悪いのだろうか?

筆者は上記の不満があってブレーキパッドを交換したわけですが、バイク業界の王者のHONDAとその御三家のNISSINがそんな適当な設計をするのでしょうか?確かに、部品共通化などでコスト削減など(オフ車のCRFと共通)の取り組みの結果かもしれません。CRFと共通ですがタイヤ径が全然違います。マスターシリンダー径やローター径、レバーレシオの関係もあるのでパッドの共通化が原因とは一概には言えません。GROMはショートホイールベースでフロントサスがしっかりダイブするのでリアタイヤをロックしにくくするためにわざとこのような設計にしたのかもしれません。カスタムを意識した4st miniなのでリプレース前提だったのかもしれません。純正タイヤのグリップが弱いという話もあるのでそれも含めると最適設計ともとらえられます。

取り外したブレーキパッドの刻印はFFです。常温、高温ともに摩擦係数(μ)が0.35~0.45未満です。交換したSBSのパッドは刻印がGGなのでμ=0.45~0.55未満です。単純に効力は上昇すると思いますし、NISSINも意図があってFFになるように摩擦材を選定したと思います。

NISSINの刻印があります

摩擦係数を調べていると、SBS本国のサイトに上位モデルにあたる915RSIというモデルもラインナップされています。サイズなどからすると、GROMにも装着可能なのではと思います。日本の輸入販売元であるキタコはRSIシリーズには「但しミニバイクに使用する場合にはリアには使用禁止」としているので相当強力なのでは?と予測します。ただ、腑に落ちないのが、本国サイトだとGROMの海外名「MSX」が915SIの使用可能なFitment listingに表示されてないんですよね。SBS本社とキタコで使用OK範囲の解釈が違うようです。ちなみに915RSIが国内ネット通販で売っているのを見つけた時はショックでした。筆者としては試したかったです。

SBS本国サイトより引用 https://www.sbs.dk/products-1/brake-pads/915rsi

なぜショックだったかというと、ベスラ、デイトナいずれもシンタードパッドはHHだからです。ベスラの摩擦係数は0.60〜0.63未満(公式HPより)、デイトナに至っては0.7を達成(ヤングマシーン記事より)しているとのことです。単純にカタログ値だけならもっと効きのいいパッドがあることを知ってショックでした。

ちなみにデイトナのパッドは純正メーカー製だそうです。デイトナってNISSINのラジアルマスターとか取り扱ってますし、デイトナパッド=NISSINなんですかね?

結論

ブレーキは使用を続ければあたりは全面に出る。長寿命。効きが悪い理由は不明のまま!

分解したり、交換したり、計測したり楽しかったです。また、ブレーキの知識も増えて勉強になりました。新しいブレーキパッドをまた点検してみて考察してみます。(次はHHのパッドにするぞ・・・!)

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