GROMのフロントサスペンションの良いところ、悪いところ
GROMのフロントサスペンションには不満があったのでリアサスペンションを変更したら大満足だった。いつかフロントも変更しようと思っていたのだけど最近いよいよ熱が高まってきた。
それで何が不満なのかというと、主に2つ
- 急ブレーキの際に一瞬でフロントが沈む。姿勢変化が急激に発生する。
- 大き目の段差で底付きしている(ように思う)
大約すると、奥でもっと踏ん張ってほしいけど踏ん張れないところに不満があると言えると思う。
1つ目の急ブレーキ時の挙動は強くブレーキをかけた時にフォークが素早くフルボトムまで行く。最後に粘らずにピタッとフォークが止まる(さすがにガツンとまでは言わない)。小さい車体で一気に姿勢変化が生じるのが怖いのと姿勢の変化が大きい。加えて一気にフルボトムまで行ってそこでストロークが止まるショックもそれなりにあるところも嫌い。
2つ目の問題は12inchのホイールとミニバイクだからしょうがないかもしれない。大き目の段差に入るとガツンと言う。低速でも発生するときは発生する。フルボトムして底付きしてるかホイールがリム打ちしているのではと思っている。
不満点を書いたけど、もちろん良いところもある。まずはサスペンションが良く動く。小さい力で動き出すので振動や小さい段差は良く吸収してくれる。挙動もフォークがスッと入ると言えばよいだろうか。フロントにしっかり荷重をかけてフォークを縮めてキャスターも立てて、クルッと旋回できた時は気持ちいい。落ち着いてブレーキングすればフルストロークさせてしっかり前タイヤに荷重をかけられる気もする。フォークのストロークも存分に活用できていると思う。別に振動が収束せずにボヨンボヨンするわけでもない。しなやかすぎる脚ともいえるだろうか。
改善方法を考える -大枠編-
自分の中での熱が高まっているので改善方法を考える。Web上にある諸先輩方の情報を参考にするといくつか手段がありそう。
- フォークオイルを粘度の高いものに変更する。(ダンピングを効かせる)
- フォークオイルの油面を変更する。(圧縮空気ばねの調整)
- スプリングを変更する(バネ定数を変化させる)
- インナーカートリッジ変更(オーリンズ、TASC、GEARS、etc…)
個人的にGEARSのカートリッジが発売されるとの情報をSNSサービスのXで見かけてから楽しみにしてた。しかし一向に発売情報が更新されないので諦めることに。このあたりでカートリッジタイプは全般に興味がなくなった。
フォークオイルやスプリングの変更は多くのユーザーがやっていて情報が多いが、いかんせん自身のサスペンションの知識が足りない。多くのメーカーと部品が選択肢に入るので悩んだ。
改善方法に悩む -方向性-
部品選定する前にどうしたいのかを悩んだ。まずは急激な姿勢変化。オイル粘度を上げることは必須と判断。フォークの伸縮動作をゆっくりにすることで解消を狙いたい。web上でもオイル変更をしている人は多いが、グロムはオリフィス径が大きすぎて意味がないとの情報もある。キタコからグロム用(モンキー125、DAX125共用)高粘度(動粘度190が最低)のオイルも発売されているがバイクメーカー純正オイルの粘度指数(動粘度35くらい)とは桁が違いすぎてビビる。
ストローク速さがオイルに起因しているとしても簡単にフルストロークしてしまうのは根本的にバネレートが不足していて耐荷重が不足しているのでは?とも思いバネレートも上げた方が総合的に良いだろうと判断。
ただし、バネレートもオイル粘度も上げると今のフォークの動きの良さ、特に初期のスッと動き出す良さがキャンセルされるのではと悩み、具体的な部品選定にかなり悩んだ。
バネレート計算とフォークスプリング選定
オイルはいろんなメーカーやグロム専用オイル(キタコや広島高潤)があり純正が#10に対して#5~#30,40くらいまでたくさんある。一方でサスペンションが出ているのはシフトアップとキタコ。オイルもセットならハイパープロから不等ピッチサスペンションが発売されている。*後で調べたらモリワキ、YSSからも出てました。
スプリングをどのくらい強くすればよいのかわからなかったのでバネレートからフルストロークに必要な荷重を計算して目安にした。(空気ばね、摺動抵抗、オイルによる熱変換を無視。ばねに垂直に荷重をかけた場合) web上にはストローク量は104mmとの情報もあった。今回の記事、web上に散乱してる情報を忘備録としてまとめている。リンク許可とっていないので一次情報の記載をしないが転載ではあるので後ろめたい。
メーカー | バネレート mm/N | フルストローク 必要過重[kgf] | 20mm移動 必要過重[kgf] | 40mm移動 必要荷重[kgf] |
HONDA純正 | 3.8 (100%) | 80.6 | 15.5 | 31.0 |
シフトアップ | 4.2 (111%) | 89.1 | 17.1 | 34.3 |
純正+キタコ (3.8+5.5N) | 4.65 (122%) | 98.6 | 19.0 | 37.9 |
キタコ | 5.5 (145%) | 116.7 | 22.4 | 44.9 |
キタコ | 6.0 (158%) | 127.3 | 24.5 | 48.9 |
キタコ | 6.5 (171%) | 137.9 | 26.5 | 53.0 |
旋回時にはフォークをしっかり縮めたい思いと、ストローク初期の動きを阻害したくないのでシフトアップの110%スプリングにすることにした。現状から少しだけバネレートが上がれば良いと判断。キタコの一番柔らかい5.5Nバネを使っても純正比1.4倍のバネレートは変更が大きすぎると思った。第二候補として120%になる片側だけキタコ5.5Nへの変更。片側スプリングだけ変更すれば実現すると思う。やや冒険気味かも。ただし、バネレートがまだ足りないと感じたときは追加の部品買わなくても済むと思う。
ちなみに純正スプリングのバネレートはシフトアップの商品情報から。ただ、純正は可変ピッチらしくどうやって計算したのか謎。もちろんシフトアップの商品情報も「純正約3.8N」と記載がある。ひとまずベンチマークとして活用した。
ここに載せなかった候補としてハイパープロの可変(不等)ピッチスプリングもすごく悩んだ。奥でもう少し踏ん張ってほしいという願望に対して提案している商品コンセプトは完璧だと思う。商品情報に純正比で強くなるのか、弱くなるのか一切データ開示が無いので辞めた。コンスタントライジングレートと言っているけど、単純バネレートがコンスタントライジングなのか、乗車時の体感なのか、コンスタント(=定数)がいくつで設計されているのかと疑問が多すぎる。一方で値段は高い。売る気あるのかなと思ったけど、店頭で説明してお店にセッティングも含めて売り込む商品と思うことにした。ネットで商品情報を集めるような自分には適していないのだろう。
オイルを調べて選ぶ
スプリングが先かオイルが先かわからなかったがサスペンションの性能はスプリング(コイルバネ)が支配的だろうと勝手に想像し、サスペンションを先に選んだ。サスペンションはシフトアップで選んだので次にオイルを選ぶ。推奨は#20-30らしい。ここもやはり、フォークのストローク初期の軽い動きを阻害したくないので#20あたりを選ぼうと思ったがフォークオイルの規格が良くわからない。どうやら動粘度で比較するのが良いらしい。調べるとKYBのオイルの番手が他メーカーと一致しないっぽい。他メーカーのオイルはSHOWAに作らせているとかかな?webikeの記事が参考になった。
候補としてヤマルーブのG-15、ハイパープロの#20あたりが動粘度47.4、50.5[mm2/s]でよいのではと思った。ホンダ純正がSAE10Wらしく40℃動粘度が35くらいらしい。一方で、KYBのフォークオイルはG10: 41, G15: 58, G20: 78, G30: 115らしい。これはwebikeの記事の純正オイル粘度とはかけ離れている。ただグロム界隈ではG30やKITAKOのもっと固いオイルが使用されているみたい。あくまで街乗り仕様なので柔らかめの#20相当を選びつつも、その中でも固めのオイルを選ぶことにした。ちなみに#30付近から柔らかめを選ぶ手段もあるが#30付近から極端に製品ラインナップが少なくなるので選択肢から外した。例えばハイパープロのオイルだと#20の次が#40がっぽい。#2.5, 5, 7.5, 10, 15, 20, 40とのラインナップなので柔らかめは細かく刻んでいるが硬めは大きく番号が飛んでいる。オイルの硬さの指数と動作時の物理量が単純に正比例しないということだろうか???。
ひとまず候補としてシフトアップのスプリング、ハイパープロの#20のフォークオイルを使ってみよう。
もう知恵熱出そう
まだ油面高さを考えなきゃいけない。
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