GROMの速度表示はアウトプットシャフトから計測
筆者は給油の度に燃費を計算しています。バイクの変化を定量的に知ることができる数少ないパラメーターだからです。その燃費を計算している測定値はたったの2つの測定値で求められます。給油した量と走行した距離です。その走行した距離の計測ですがアウトプットシャフトの回転から算出されているそうです。速度も同様のためスプロケット交換で減速比を変更した際には速度パルス変換ユニットを割り込ませなければならないそうです。そのため速度計測に影響を与えるのはアウトプットシャフト以降に力が伝達される部分です。つまりドライブ、ドリブンスプロケットの減速比と、リアタイヤ外径です。
ちょうど、筆者のGROMはだいぶリアタイヤが摩耗してきました。これがどの程度速度・燃費計算に影響があるのか、無視できる程度なのか知っておこうというのがこのポストの目的です。
カタログスペックの確認
筆者のGROMはBRIDGESTONE BATLAX SCというスクーター向けタイヤを使用しています。サイズは130/70-12 62P TLです。ブリヂストン社のwebページカタログを見ると外径は493 mmです。
カタログ値で外径がわかったので、周長も求められます(ライダー乗車、走行による変形、空気圧による膨張等は無視することにします)。周長は2×π×493/2 ≒1550 mmとしてこの後の計算を進めます。
摩耗量を推定しなければいけない
筆者は新車購入時にタイヤ溝の深さを計測していませんので新品時からどの程度摩耗したのかを推定する必要があります。ちなみに自動車であれば、新品時の溝深さ7.5~9 mmというのが一般的だそうです。(国内主要4社のページを見ました。8mmという表記が多かったです。一番小さいのがブリヂストンの表記で7.5mm、大きい値がTOYOで8~9mmとの表記になっています。)また、ブリヂストンのwebページやカタログに新品溝深さの記載は見つけられませんでした。(サイズごとにブロックサイズやトレッド深さを最適化してる?)
筆者のタイヤの摩耗量の推定の方法としては、アマリング(タイヤショルダーでほとんど接地していない)部分の溝深さと、最も摩耗しているタイヤセンターで比較して摩耗量を推定することにします。
測定
ノギスのデプスゲージ機能を利用して計測します。アマリング部は左右各2か所とタイヤセンター3か所を測定して平均値としました。(デプスゲージのほうが正確に測れるかもしれませんが、持ち合わせていません)
計測箇所 | トレッド高さ平均値 [mm] |
アマリング | 5.8 |
センター | 1.8 |
結果、アマリング部は5.8 mm、センターは1.8 mmの溝深さです。アマリング箇所は多少は使った形跡があるので、初期値を6.0 mmと推定します。グルーブは長さ方向に深さに違いがあるので一番深いところ(深かったところ)を測るようにしました。このことからトレッドは4.2 mm摩耗したとして計算を進めます。トレッドが4.2 mm摩耗したタイヤの周長を求めると訳1520 mmとなります。
摩耗が速度、距離に与える影響は?
ここまでの測定結果などから新品時と摩耗したタイヤでタイヤ周長は訳2%変化すると結論付けます。新品時に時速50 km/hの表示であれば、消耗時は同じ実速度で走るには51 km/hに表示されるように走る必要があるということになります。
燃費に置き換えるとタイヤ新品時60 km/Lだったのが、61.2 km/hに変化することになります。(見かけ上の走行距離が伸びる)。筆者のこれまでの燃費記録でいうと似た使用状況下でも燃費は0~5 km/h程度は変化しますので無視できる範囲と考えます。
ただ、同じタイヤサイズ表記でもメーカーによってカタログサイズ、実サイズの差があるよう(ダンロップのTT93GPはカタログ値外径488 mm)なのでタイヤを変えれば多少の燃費変化はあるかもしれません。(外径だけじゃなくて転がり抵抗とかの影響もありそうですが)
結論 摩耗の影響は無視できる
速度や燃費に関して摩耗の影響はほかの影響も考慮すると無視できる程度だと思うことにします。もちろん経年でのコンパウンドの劣化や転がり抵抗の変化、排水性の悪化などあると思うのであくまで、速度表示の話です。
また補足ですが国交省のサイト(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000007.html)を見ると保安基準として、速度表示は+6%、-22%くらいまでは許容のようです。法律文の解釈は難しいですね。メーカーがハッピーメーター気味に設定するのはこの辺りに理由があるんでしょうかね。
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