走行1万km超えのGROMのエンジンオイルフラッシング+オイルドレンコックで完璧のつもりでした。

DIY

オイルがびっくりするほど汚い

つい先日、自分でオイル交換にチャレンジしました。バイクの調子が悪くなるまで乗りっぱなしだったのでとても汚いオイルができました。(オイル交換から走行1200km、期間8ヶ月)

エンジンオイルが全交換できないのはどの車種もらしいですが、原付きのグロムはオイル容量が少ない分、体積あたりの交換比率が悪く、古いオイルが残りやすいです。と、考えていて、他のホンダ車と比較しました。それが下表ですが、排気量に関わらず約2割のオイルがエンジン内に残留するようです。

車種(形式)排気量
(cc)
エンジン
オイル量(L)
エンジンオイル
交換時必要量(L)
旧オイル
残比率(vol %)
GROM (JC61)1241.10.918
CB250R (MC52E)2491.81.516
Africa Twin (SD10)10824.84.017
エンジンオイル交換必要量はオイルフィルター装着車はオイルフィルター交換時の量、Africa Twinはマニュアルミッション車の値から算出。

オイル交換後バイクは快調ですが、気分の問題もあり短スパンでオイルを交換することにしていました。約3週間、120kmほど走ったのでエンジン内の汚れも十分落ちたと期待しています。フラッシングだと考えています。今回のフラッシングで、エンジン不調時の汚れたオイルのエンジン内残留量は3 vol%になる計算です。(0.18*0.18≒0.03)

前回、オイルがエンジン下部を伝って、あちこち汚れたり、オイル吸収剤の外に垂れたりして掃除が大変でした。 またGROMはオイルフィルターもない車種です。今回はオイルドレンコックを導入してオイル交換の手間を大きく減らそうと企んでいます。

オイルドレンコック選定

オイルドレンコックは麓技研のエコオイルチェンジャージェットB109SXが適合です(ホンダ車の多くはドレンボルトがM12、P=1.5、2面幅17mmのようです)。SNSではEZバルブがプロモーションを頑張っていて気になっていましたが、以前から知っていた麓技研を選びました。価格が¥4000以上と高いですからオイルドレンワッシャー何枚分か換算したところかなり悩みました。

デイトナの M12のワッシャーがAmazonで10枚¥825→¥83/枚、なので オイル交換約50回相当。

コスパはオイルドレンボルトとワッシャーの圧勝です。それでも選んだのは掃除とネジ山が気になるからです。オイルドレンボルトを外すと、最後の方はオイルがドレン穴からエンジン下部にじわじわ広がって掃除が大変でした。サイドスタンド側にオイルが垂れていってしまいます。オイル吸収材の置き場が悪いと、地面に垂れてしまいます。

こぼしたあとの掃除が大変

またオイルパンのネジ山を毎回壊さずに緩めたり、締めたりできるかと言われると、筆者は50回やったら2~3回は失敗しそうな気がします。素人なので安心料+便利料ということにします。取付部のサイズが気になる方も多いと思うのであちこちの寸法を計測しておきました。気になる方は最後の方にその写真を掲載しておきますので参考にしてください。

オイル交換

フラッシングとして働いてもらったオイルを排出します。天気が良かったので直前に少し走ってエンジン内の汚れを撹拌しておきました。その後、17 mmのメガネレンチでドレンボルトを緩めて排出します。

定価購入したこのレンチもこれで最後の役目です。もったいない。

出てきたオイルですがまたしてもびっくりするくらい汚かったです。こんなもんなのでしょうか?すごい懸濁しています。あと少し緑色に見える気がします。

またしても汚いオイルが出てきたので必死になって、オイルを絞り出します。サイドスタンドの反対側に傾けたり、クラッチを操作したりしたところまだまだ出てきました。

前回と同じくらい汚かったと思います。

GROMをサイドスタンドの反対側に傾けてから、もう一度サイドスタンド側に傾ける動作を繰り返すといくらでもオイルが出てきます。勉強になりました。(キリがありませんでした。)

エコオイルチェンジャーの取り付け

簡単だと思っていましたが、取り付け位置などで難儀しましたので記録しておきます。

取り付け位置ですが、写真のようにドレンボルトの位置にザグリがあります。エコオイルチェンジャーの本体を当ててみると、ザグっていない部分と本体が僅かに干渉するので、付属のアルミワッシャーを使う必要がありました。エンジン下部からの突き出しを小さくしたかったので使いたくなかったのですが必要そうです。アルミワッシャーを使えば干渉せずに済みました。

エコオイルチェンジャーの組み立て

エコオイルチェンジジャーはOリングでシールする仕組みですが、バイクに組み付け時には摺動部のとなるため新油をつけて組み付けるように指示があります。先に新油を塗布すると、シール部に砂などを噛み込みそうになったので、事前に組み付け向きを決めておいたほうが良かったです。

更に組み付けの際にはネジを手締めし難いので、ボールポイントの6角レンチなどがあれば便利でした。

組付け方向は排出方向を左右にしか選べません。後方にしたかったのですが、後方の雌ねじと干渉するので組み付けられません。組み付けやすいのは車体右側への排出方向です。ですが、これだと排出口にちょうどエギゾーストパイプが来てしまいます。(純正エキパイです。)筆者はサイドスタンド方向へ排出することにしました。こちら向きにするとエンジンのボルト穴の部分と干渉しやすいので念入りに確認をしながら組み付けました。干渉せずに組み付けられる範囲は結構狭いのであまりおすすめはできません。組付け位置からずれないようにしながらトルクレンチで固定しました。

組み付けてみて後の祭りですが、ドレンワッシャーが余っていたので、それを重ねてうまく逃してやれば良かったと思っています。幸いネジ部は十分な長さあります。

【疑問】エコオイルチェンジャーは全量排出できるのか?

実はとても疑問だったのが、エコオイルチェンジャーでオイルの排出量が減るのでは?と気になっていましたので以下の方法で検証するつもりでした。まずは、なぜ排出量が減るかを示した模式図を示します。

このようにオイルパンの中でドレンコックのネジ部が上向きに突き出すと、排出を妨げるのでは?という考えです。車種によりますが、GROMは上向きに装着する車両です。検証方法は以下を計画していました。

  • まず、ドレンボルトを外してオイルを抜く
  • エコオイルチェンジャーを装着する
  • 事前に計量しておいた適量のオイルを注入する
  • オイルを排出する
  • 排出できたオイル量を計量する
  • 注入量と排出量の差分を確認する。

ケミカルは宗教とは言いますが筆者は全量交換したいとか、潔癖症ではなく知的好奇心でこんなことをしています。ここで検証オイル量ですが、少なすぎると誤差が大きくなり、多すぎるともったいないし、筆者の持つ道具では計量できなくなります。前回のオイルの余りが170 mLほどあり、まぁちょうどいいんじゃないかとこれを使うことにしました。

容器も移し替えてバッチリの状態

ですが、以下の理由で大失敗しました。

ドレンコックがOPENのまま注入した

コックのハンドルというのは工業的には慣習的にハンドルと流体の方向が平行なら「開」、垂直なら「閉」になっています。エコオイルチェンジャーは車両下部へのはみ出しを小さくするためにそのようにはなっていません。というかコックの部分で流体が直角に曲がるのでそういった慣習で判断した筆者がアホなだけですが。しかし、検証は継続したいです。ただでは転びません。ここで、エコオイルチェンジャーを取り外せば、検証したかったオイルが出るはずです。一度取り付けた、エコオイルチェンジャーを取り外し、オイルドレンから落ちてくるオイルの回収を試みます。

結論としては失敗しました。データは取れましたが、計量値が小さく、信憑性がありません。以下の理由もあります。

  • 採取できたオイル量が少ない
  • エンジン下部を伝って逃げたり、エコオイルチェンジャー脱着時にオイルが流出したため全量回収できていない。
  • バイクを傾けることでオイルが出てくる量が変わるのでどこまでがエコオイルチェンジャーの影響なのか判断がつかない。

一応採取できたデータから言えばエコオイルチェンジャーの影響は殆どないことになります。差分は10 mLになりました。

新油を注入

新油を注入してフラッシング完了とします。この時、バイクの水平を保つために以下のようにしました

  • サイドスタンドに下駄を履かせてバイクを起こす。
  • チェーンメンテ用のスイングアームスタンドを使って反対側からもバイクを支持する。

ガソリンタンクキャップ部で水平を計測したところ1.4°の傾きになりました。まぁほぼ水平ということにします。両手が空くので作業しやすいです。ちなみにこの状態でエコオイルチェンジャーをつけたり外したりすればオイル排出量の差の計算ができることに注入中に気づきました。

フラッシングの効果

新油を注入後、試走に出かけました。8 kmほどですがよく知っている道を走りました。プラシーボ効果や暖気の影響もあると思いますが以下のように感じました

  • エンジンブレーキが弱くなりました。自宅前が下り坂なのですが、乗った瞬間にあれっと思うくらいスルスルと進みました。前回の考察と逆の現象なので暖気の影響かもしれません。
  • シフトフィールは逆に固くなりました。カチャンカチャンといったフィールからカチンカチンといった感触になりました。
  • エンジンノイズは減りました。チェーンノイズばかり聞こえてくるようになりました。

正直あまり説明は付きませんがとりあえず精神衛生上いい気分になりました。

不完全燃焼

今回は今後の作業を便利にする目的と、エコオイルチェンジャーの影響調査、エンジン保護の3つの目的がありましたがすべての目的を果たせませんでした。反省が多いので次回、リベンジしてまた記録します。その際にはエコオイルチェンジャーの取り付け向きを後ろ向きにできるのかも検証しようと思います。実際に取り付けてみて、エンジン下部からのはみ出し量はそんなに気にならなくなりました。取り付け前は色々心配していましたが、純正エキパイよりも高い位置にあるのでまぁいいかという気持ちになりました。

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