経緯
先日、リアブレーキパッドの交換を行い150kmほど走行しました。素人整備の宿命か、エア噛みを起こしたような気がします。素人整備なので原因がはっきりわかりません。一言でいえば効きが甘いです。細かくいうと下記の通りです。
- 初期タッチは効いている
- ストロークが増え、奥の効きが立ち上がりが期待したほどでない
- 思い切りブレーキペダルを踏めばロックする
原因として考えられるのは、
- そもそも交換したパッドのあたりがついていない。
- 微小なエア噛みを起こした。(仮説: 初期タッチの時点ではパッドが変わったのでμが違うので初期タッチが効いている。奥で効かないのは、そこから一度エアを押しつぶすまでストロークしなければならない。エアを押しつぶせばその後、効いてくるのでロックまで持ち込める。)
- 筆者が新パッドに期待しすぎ。
2年半近くブレーキフルードを交換していないので、交換が必要です。本当は湿気の少なくなる秋ごろにフルード交換しようと思っていましたが、今交換すればエア噛みの疑惑について潰すことができます。
愚者すぎて経験にも学ばなかったので素人作業で交換した
“愚か者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ” とはよくいったものですが、ここまでの経験から学べば、フルード交換はプロに頼んでしっかりと怪しい点を解消すべきです。ですが、結局自分で作業しました。
理由は
自分でやってみたい好奇心に負けた
愚か者すぎる筆者談 2022年7月
筆者の経験は自転車のブレーキシュー(リムブレーキ方式)の交換程度です。油圧ブレーキの交換は完全に未知の世界です。(最新のスポーツサイクルは油圧ディスクブレーキです。)当初はバイク用品店にバイクで行って、交換をお願いするつもりが、工賃表を見たりしているうちに、なぜかブレーキフルード(\770)を購入して帰路についていました。帰路ではホームセンターに寄って耐油チューブ0.4m(\80)と2面幅8 mmのコンビネーションスパナ(\907)を購入していました。
購入したフルードですがUTCというブランドでENEOSが製造元のようです。用品店で一番安かったです。(HONDAと少し迷いましたが規格品だし筆者には規格の中での違いは分からないだろうと思いました。)
愚者なので結局失敗しつつも交換
web上の諸先輩方の方法に倣って自分もフルード交換を行いました。基本的にはほとんどの情報が公開されていますが、やってみないとわからなかったことを記載しておきます。果たして、筆者は以下の反省点を次回作業時に見返してから作業するのでしょうか・・・!?
- 古くなったプッシュリベットは破損する
- こんなことでは整備しているのか、壊しているのかわからない
- ぼんやりしているとブリーダーバルブ側からエアーを吸い込みそうになる
- ブリーダーバルブを緩める前に少しブレーキペダルに圧をかけておかないとエアを吸い込みそうになる。
- ブレーキペダルを1ストロークさせきる前にブリーダーバルブを閉める勢いで行かないとエアを吸い込みそうになる。
- ブリーダーバルブから古いフルードを排出してからブレーキペダルを3ストロークくらい動かすなんて知らなかった。1ストロークでまた1回排出できると思っていた。
- リザーバータンクは思っているほど大きくない。(おかげで本当のエア噛みを体験できました。)
- ブリーダーバルブから排出後に3ストロークくらいできるのに気づいてから、リザーバータンクの減りが早くなったことに気づきませんでした。ペダルとブリーダーバルブの操作に集中していてリザーバータンクが空になっていることに気づかずエアーをマスター側から吸い込む失敗をしました。
- 特にフロントはリザーバータンクの位置が高く、透明でもないので意識が弱くなりがちでした。
- 作業者が愚者の場合、エア噛みの失敗も見越すと前後で500 mlあると心強い。(使い切りそうな勢いでした。)
- リザーバータンクを開けた際にダイアフラムの清掃と、ふき取り用のウエスがあるといい
- リザーバータンクを満タンにしたのに、そこからダイアフラムやキャップを清掃したりしているとせっかくの新品フルードが吸湿しそうな気がするので、さっさと閉められるように先に清掃しておいたほうが良い。
- エアが一生抜けない。延々と微小な泡が出てくる。最初はブレーキライン内のエアーだと思っていましたが、ペダルタッチは十分硬い。おそらく排出時にブリーダーバルブのネジ部からベンチュリー効果でエアーを吸い込んでいるのではないかと思います。(ブリーダープラグの内径よりも太い耐油チューブに出てきた瞬間に圧送圧が解放されて、減圧になるか、または吐出速度が速いまま断面積の大きい流路に移行することで減圧している?)
フロントはアッパーラインがないのでどこまで入れればいいわからない。タンク内のケガキ線がアッパーラインのようです。足りていなかったので後で調整しておきました。
作業後どうなったか
そもそもの作業ですが、まずリアだけ行いました。バイクは前後ブレーキが独立しているので、作業に失敗したとしてもリスクが小さいと判断したからです。リアの作業後、ペダル操作(手動)が硬くなった気がしました。
その後フロントも交換作業を行いました。結果、リザーバータンクから見えるオイルが透明になり自己満足度が高まりました。
性能変化ですが、問題のリアブレーキですがペダルストロークが減って、奥での効きが良くなりました。やはり少しエアを噛んでいたのかもしれません。また新油に変わったことでフィーリングに変化が出るかといえば、(特にフロントに関して)変化は出ませんでした。多少吸湿、酸化、汚れた油でも変化を感じるほど圧縮率が変化しないようです。(DOT4のブレーキフルードの規格に圧縮率の項目とかないか調べておきます。)
追記
JIS K2233にブレーキフルードに関する規格があったのでざっと読みました。動粘度の測定や金属、SBRへの攻撃性、繰り返し動作に関して規定がありましたが液体の圧縮率の変化の項目は見つけられませんでした。液体の水やアルコールの圧縮率 kは10-10オーダーです。かつ、オイルよりも水のほうが値が小さいですから圧縮されにくいです。もちろん、グリコールに水が溶解した場合にどのような挙動をとるかは計測しないとわかりません。水和することで圧縮率は逆に小さくなりそうな気もします。ブレーキフルード交換後にタッチが変わるということはフルードの吸湿による変化よりもエアが抜けたとかじゃないかと思います。動粘度が変化して入力に対する圧力損失が変化するなどであればタッチが変わるかもしれません。しかしそれが起きるのは、動粘度が低い値に変化する場合だと思います。グリコールを主成分とするオイルが吸湿した場合、水和してどっちに変化するかは筆者には予想がつきません。
ブレーキパーツメーカーのディクセルによれば、ブレーキタッチは動粘度の影響よりも、フルードの吸湿量によって変わるそうです。ちなみに、ブレーキのあたり付けなどのことを調べるにあたり、ディクセル、アドビックスのサイトは大変参考になりました。
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