事の起こり
筆者はバイク通勤をしています。そのバイク(HONDA GROM JC61 125cc)ですが、かれこれ8ヶ月ほどオイル交換をしていません。これまでは半年ごとにバイク屋にお願いしてオイル交換をしてもらっていたのですが、「このバイクにこのオイルなら年に1回のオイル交換でいいよ」と言われたので交換時期を引っ張っていました。実際にHONDAの推奨するオイル交換頻度は走行3000 km また1年の早い方です。走行距離もまだ1200 kmです。
そんななか、突然ニュートラルに入りづらくなりました。特に信号停止の際に1速で停止して、Nに入れようとすると感触が硬い。そしてNを飛ばして2速に入ってしまう。そこからNに入れようとするも硬い。そして1速に入ってしまう……のループをやっていると信号が変わっている始末です。オイル交換を引っ張ったのが悪かったかなと思いながら帰宅しました。
筆者は最近引越しをしたので、お世話になってたバイク屋も遠方になってしまい、近所にバイク屋もないので、自分でやってみようということにしました。
以前お世話になっていたバイク屋は町のバイク屋といった感じで目の前で作業していくれていたのでオイル交換は間近で見ていたし、グロムはブログや動画でオイル交換の方法がたくさん紹介されています。オイルフィルターもないし、自分でやる踏ん切りがつきました。その日の夜にはAmazonでポチって、翌日の午前中から作業開始です。
肝心のオイル
なんでこんなに急にミッションが硬くなったのか気になります。まずは前と同じ状態に戻すために、同じオイルを用意することにしました。
HONDA車ですが、オイルはYAMAHAを使っています。お世話になってたバイク屋で勧められてヤマルーブプレミアムシンセティックを入れています。バイク屋も「原付きには過剰性能だけど、自分の原付きにもこれ入れてます」って言ってました。フィーリングも良いし、燃費も若干よくなったかな?といった感じだったので今回もこれを用意します。Amazonの値引きがすごいのと、レビューが良いのでそんな間違った選択ではないと思います。
Amazonで買ったもの
- オイル(YAMAHA ヤマルーブプレミアムシンセティック 1L)
- ドレンワッシャー (デイトナ バイク用ドレンワッシャー M12用)
- オイル処理箱 (エーモン 新型ポイパック 廃油処理材)←送料調整に購入。最初の間違い。)
Amazonで買わなかったもの(次の間違い)
- オイルジョッキ(キッチンスケールを使って重量で計量するつもりでした。)
- トルクレンチ(手持ちのレンチでいいかなと。)
- ドレンプラグ用ソケット(モンキーレンチでいいかなと思ってました。)
- オイルドレンパン
補足: 手持ちのトルクレンチの差込角6.3 mmに合う17mmのソケットが見つけられなかったり、そもそも手持ちのトルクレンチの最大測定トルクが20 N・mだったりしたのであれもこれも買うと高いなぁとケチったのが本音です。←大間違い
オイル交換 -前段取り-
さすがAmazon。夜に注文して次の日の午前中には到着しました。家の中で準備を進めます。
まずはオイルを事前に計量しておきます。グロム のオイル交換量は0.9 L、ヤマルーブはSDSを公開しています。製造元は昭和シェルなんですね。発行年月日から見ると出光の吸収合併前なので今だと出光製というのが正しいのでしょうか?まぁ設備自体はシェルの設備で製造しているのでしょう。SDSによると、比重0.84 g/cm3です(15℃)。なので0.9 Lの重さは756 g、1 L缶で買っているので84 g(0.1 L)抜いておけば残りは0.9 Lのはずです(3つ目の間違い)。
というわけでSDSで安全確認をするわけでもなく間違った使い方で活用させてもらいました。早速キッチンスケールでオイルを84 g抜いて缶の残りを900 mlとしました。*食品容器に食品以外のものを保管するのは誤飲の原因になります。
購入物に合わせて手持ち工具から以下も用意しました。
- モンキーレンチ(自慢のロブスター印のロブテックス製)
- 使捨て手袋
- キッチンペーパー
- オイルポイパックを入れておくダンボール箱(コーラの箱がぴったりでした。)
- ノギス(部品のサイズ確認のため)
天気も良いので10分ほどグロム を走らせてオイルを温めてきました。相変わらずニュートラルに入りにくいです。走行距離とオイルフィラーキャップがちゃんと開くか確認していざ作業に入ります。
オイルドレンプラグに苦労
他のブログなんかで予習すると分かりづらかったのがドレンボルトとカムチェーンテンショナーボルト。下からの写真で位置関係が分かりづらい。バイク屋さんはスタンドの反対側から作業してたなと思い出し、ボルトを確認、丁寧にアイマークもしてくれていたので間違えずにすみました。
このあと家の前の坂を使ってドレンボルト(車体前方)側が坂の下に向くように工夫して停車していざ、ドレン開放!
ボルト頭を少し舐めました(間違いというか失敗というか)。というか、エキパイや、ドレンボルトのガードが邪魔してうまくレンチがかかりません。このまま続けると大失敗するぞ、という事で急遽ホームセンターまでグロムを走らせ、17 mmのレンチを買いました。おかげでオイルは熱々になりました(次の失敗)。暖機運転の時間は無駄になりました(また失敗)。
こういう時はちゃんとしたブランドの工具じゃないと重症化すると予想し、TOPのコンビネーションレンチを購入しました。同じ値段で安物のレンチセットも買えましたが、ここは慎重になりました。(購入直後、ホームセンターの駐輪場でスパナをドレンボルトに当てて、サイズ確認しました。恥ずかしい。)Amazonで買っとけば安かったのにこれも間違いです。
なんとかオイルを交換
レンチを購入してきたので、再度、オイル交換に挑戦です。(もう一度走行距離確認しました。追加で10km走るはめになり1時間ほど時間を無駄にしました。これだけ走ればもう乳化はしてない予想です。)
さすが一流ブランドの工具、そして正しい工具選択。舐めかけたボルト頭をしっかりと掴み、1発でドレンボルトが周りました!高級工具を初めて使う時筆者はいつも感動してしまいます。
あとは手でドレンボルトを緩め、ある程度緩めたところで、オイルポイパックをセッティングし、ドレンボルトを外します、この辺りは動画やバイク屋さんの作業見学のおかげででうまく行きました。
オイルの状態を確認
見たことのない色のオイルが出てきました。バイク屋さんにお願いしていたときは麦茶みたいな色のオイルが出ていて「まだ綺麗ですね〜。まだ乗れますよ〜」なんて談笑、アドバイスされていました。 その時とは大違いの茶色+白濁+少し緑がかっています。唖然としました。
もう一つ驚いたのは、排出に時間がかかっていることです。なんかたくさん出てきているような。
バイク屋さんにお世話になってた時は本当に近所だったのでオイルが温まる前に到着して、オイルフィラーキャップも開けずに作業していました。今は熱々に暖気済みな上に、オイルフィラーキャップも空いているので排出は良いはずですが、前より排出に時間がかかっている気がします。水分なのでしょうか、とにかく不安を増大させます。
きったないオイルを少しでも多く抜くため、バイクを傾けたり揺すったり、一瞬セルを回したりして苦心しました。直接ポイパックに入れたので排出量も不明で余計に心配です。(せめて風体重量測定しておけばよかったです。)
ドレンからオイルが滴っている間にワッシャーのサイズを確認します。ここは間違えていませんでした。
排出の終わったオイルを再度見てみます。ネットの事前予習では見たことのない汚さです。
このエンジン、オイル全量1.1 L、オイル交換時0.9 Lだから、この汚れたオイルがまだ0.2L残っている計算です。次回オイル交換は早めに行おうと思いながらオイルの排出を待ちました。
グロムを水平な場所に移動して、オイルが出てこないか確認したところ、少し出てきました。移動時の揺れの影響か、地面の傾きなのかわかりませんが、変な工夫は間違いの元のようです。
新油を注入
オイルドレンボルト、少し舐めていますが、TOPのレンチにしっかりかかっているようなので再利用します。(こうなるとは思っておらず、交換品も用意していません)
ドレンボルトとオイルパンをキッチンペーパーで清掃して、デイトナのドレンワッシャーを装着しました。
よくいう通りに、まず手で締めて、最後はTONEのコンビネーションレンチのメガネ側で締めました。トルクレンチを用意していないのでワッシャーの潰れる感覚を信じて、恐る恐る締め込みました。多分、手締めしたところから1/6回転くらい回したと思います。ネジを舐めずにすみましたが、今度はトルク不足でボルトが振動で脱落しないか心配です(トルクレンチを用意していないのでこんなことに)。
事前に0.9 Lになるように計量しておいたオイルを入れていきます。前にバイク屋さんがやって見せてくれた注入ペースを真似て入れました。オイルの入れすぎにならないよう、オイル缶にオイルを少し残して 注入量を確認しました。ここも何度も調べたのですが、グロムのオイルレベルゲージはネジ込まずにフィラーに差込む(押し当てる感じ?)のが正しい手順です。水平にして確認なのですが、オイルパンの中でオイルの津波が起きると正しく計測できないんじゃないかなぁ、と心配になのでバイクを水平にしてからレベルゲージを当てることにします。ですが、バイクを起こして水平にしている間、片手がふさがります。これでは作業しづらいと思い、少し考えて、、、エンジンのそばの地面にキッチンペーパーを敷き、清掃したオイルレベルゲージを置いておいて、片手で拾い上げられるようにしておくことにしました。
(レベルゲージに砂が付着しないか心配なのでオススメはしません。)
さて肝心のオイル量ですが、すでにレベルゲージの上限でした!? (マニュアルではここでちょうど良い量にすることになっています。)まだオイル缶にはいくらかオイルが残っているのにです。まぁ、エンジンを回せばエンジン内に行き渡って少し減るかと思い、数分ほどアイドリングしました。
結果ですが特に減りませんでした。上限のやや上です。エンジン内に行き渡っても油温が上がったことで油量も増えたのではないかと思います。
途中でハッと気づいたのですが、そもそも1Lのオイル缶に1.000Lぴったり入っているわけなどなく、多分少し多めに入れて販売しているよなぁと思いました。自分が工場のエンジニアなら、1 L+α ,-0 mlの範囲に収まるようにディスペンサーを調整すると思います。なので+α分が結構あったということだと思います。
ヤマルーブの1Lの充填量の推測
話が前後しますが、作業後に残ったオイルの重量を計測しました。今回の空缶の重量(風袋重量)は132 g でした。余ったオイルは98.5 gなので約0.12 L多めに入っていたということになります(お得?)。
*お得な気持ちになっていますが、これはオイルを排出する際に0.9 L完全に抜けている仮定です。0.9L排出できていない可能性を考慮していないこの時の自分、途方もなくアホです。
オイル充填の反省と正しい方法
正しくオイル量を管理するにはやはり注入分を直接計量するか、注入時に一気に注入せず、規定量のだいぶ手前からオイル量を確認しつつ何度も継ぎ足して注入しておけばよかったです。
少し多いですがホンダ神話を信じることにしてこのオイル量で作業完了とします。
今、住んでいる自治体は廃油も可燃ゴミで捨てられるようです。部屋がオイルの匂いになるのでゴミ捨て日前にオイル交換をするべきだと思いました。それにこの量ならオイル処理箱いらないと感じました。箱はスーパーでお買い物した時に持ち帰りに使うお客様用ダンボールを転用すればタダです。それか通販の梱包ダンボールを保管しておいてもいいです。密封用の袋ですが、以前住んでた地域のゴミ袋が大量に余っているのでそれを使えばこれもタダです。オイル吸収剤はポストに入れられるチラシや、キッチンペーパー、トイレットペーパーで十分そうです。趣味のコーヒーの豆殻に吸わせてもいかもしれません。車や大型バイクでオイル交換時に3Lとか4Lとか排出するとなるとオイルポイパックじゃないと漏れとか容量とか不安ですが、グロムの量ならポイパックにお金かけるよりメガネレンチ買っておけばよかったです。
オイル交換後インプレッション
オイル交換のインプレッションというか、通勤時にトラブルがあったら嫌なので、試走に行ってきました。数 kmほどですが以下のように変化しました。あくまで個人の体感です。
- エンストしやすくなった。新油の方が粘度が高く、駆動抵抗になっているのか、発進時のエンストが増えました。もしかしたらオイルが多いことも原因かもしれません。
- 信号待ちでニュートラルに入るようになりました。一安心です。
- 停車時にシフトダウンする際、音が少し静かになった気がしました。(以前はクラッチ切って空走しながらチェンジペダルを踏んだ際にガシャーン、ガチャーンといった感じでした。オイル交換後はガタン、ガタン)という音に変わりました。
- シフトフィールが少しだけ柔らかくなりました。具体的にはシフトアップの際にチェンジペダルを押し上げる時に伝わる感触がすこし優しくなりました。
- エンジンノイズは多分変わっていません。少し静かな気もしますが、多分気のせいです。
試走後にドレンプラグ周辺を確認して、オイル漏れがないことも確認しました。その後数日おきに確認しましたが、大丈夫のようです。
近々また交換します
オイル交換は年1回でいいかと考えていましたが、自分でできるようになった(正しくできたとは言っていない)し、あの汚いオイルがまだエンジン内のオイルの約18 vol% 残っていると思うと精神衛生上良くないです。今回はフラッシングということにして少し走ったらまたオイル交換をしたいと思います。
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